私は新卒で防虫防鼠のコンサルタントとしてキャリアをスタートし、現在は食品工場の品質管理課で勤務しています。
これまで多くの小規模工場の現場に伺い、様々なお悩みを伺ってきました。その中でも特によく聞くのが、次のような声です。
「防虫対策はしっかりしたいけど、なかなか予算がとれない」
小規模な食品工場では、毎月数万〜数十万円の防虫費用をかけるのは現実的ではありません。
コンサルタントも商売である以上、費用をいただけなければ提案すらできないのが現実です。
私自身、現場でそうしたお客様に有効な提案ができず、もどかしい思いをしてきました。
そこでこのブログでは、費用を抑えながら現場でできる防虫防鼠の基本と実践的な工夫を、私の経験を交えて発信していきます。
✅ なぜ防虫対策が重要なのか?
食品工場で虫が問題となる最大の理由は、異物混入です。
虫が製品に混入してしまうと、それは「異物」として扱われます。
厚生労働科学研究の調査(平成28年12月~令和元年7月)によれば、
異物混入のうち約23.9%、つまり約4件に1件が虫によるものという結果が出ています。
虫の混入は、消費者の信頼を大きく損ないます。
一度「虫が入っていた」とSNSで拡散されてしまえば、
商品を手に取ってもらえなくなるばかりか、企業として大きな打撃を受けかねません。
最悪の場合、炎上によって倒産にまで至る事例もあります。
❌ よくある誤解:「殺虫してるから大丈夫」
現場でよく耳にするのが、
「うちは定期的に殺虫剤をまいてるから大丈夫」
という声。これは、非常によくある誤解です。
実際には、殺虫剤をまくだけでは根本的な解決になりません。
虫の発生や侵入が続いている限り、殺虫しても翌日にはまた別の虫が入ってきます。
私の現職の食品工場でも、以前は「虫対策=殺虫剤!」という考え方が主流でした。
🔧 防虫対策の基本「発生・侵入・駆除」
防虫には3つの基本原則があります。
● 発生させない(工場内で虫を発生させない)
工場の内部で虫が増える原因の多くは、清掃不足や食品残渣の放置です。
たとえば、小麦粉が作業中に床へ落ちて放置されると、
それがハエやゴキブリの栄養源になります。
排水溝やグレーチング下も盲点になりやすく、見た目がきれいでも内部にカビや汚れが残っていることがあります。
● 侵入させない(外から虫を入れない)
家庭でも窓やドアを開けていれば虫が入ってきますよね。
工場でも同じことが、より複雑な条件下で起こります。
- 網戸の目が粗すぎる
- 給気ファンにフィルターがない、もしくは破れている
- 建物に隙間やひび割れがある
- ドアの下部にわずかな隙間がある
これらの条件が重なり、知らぬ間に虫が侵入してしまいます。
● 駆除する(最終手段)
発生と侵入を完全にゼロにするのは難しいため、最終的には駆除が必要になります。
代表的な方法は以下の2つです:
- 薬剤処理:エアゾール、液剤、MC剤、ベイトなどを目的に応じて使い分ける
- 捕殺処理:捕虫器やトラップなどで物理的に捕獲する
ただし、薬剤を使うだけでは十分でないケースが多いです。
- 壁の中に潜んでいる虫には薬剤が届かない
- 隠れた汚れに潜む虫は駆除が難しい
- 外に撒いた薬剤は、雨で簡単に流されることもある
重要なのは、「どこに、どんな虫がいて、どう駆除すべきか」を見極めることです。
📝 まとめ:できることから始めよう
すべてを一度に変えるのは難しくても、できることから少しずつ改善することで効果は出てきます。
- 今日からできる清掃ポイントを見直す
- 建物の隙間や設備の状態をチェックする
- 捕虫器の設置場所を見直す
など、まずは「自分たちでできること」から始めてみましょう。
このブログでは今後も、コストをかけず、現場でできる具体策を紹介していきます。
次回は「外部からの虫の侵入を防ぐためのチェックポイント」について解説予定です。
「こんなテーマが知りたい!」という方は、ぜひコメントで教えてください!
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